ASUS Chromeboxは、どこまで使えるのか。
2014年12月に個人向けにやっと発売になったASUS Chromebox(実勢価格:31,000円)を個人的に購入し、レビューしてみました。並行輸入品もありますが、今回は、日本正規品を購入しています。
今回のレビュー目的は、このChromeboxがどこまで業務に利用できるかとTV会議システムやビデオ会議システムの端末として利用できるかです。前回のBlogにも書いたように私は、Linuxデスクトップを業務で利用しています。
Chromeboxは、Chrome OS(これもLinuxベースで開発されています)を搭載している省スペース型PCになっています。サイズとしては、Intelさんが提唱しているNUCのタイプになります。
ちなみに、この記事もChromeboxから書いています。
日本正規版には、NUCサイズの本体、無線日本語キーボード、無線マウス、ドングル、ACアダプタ(日本形式)がセットになっています。
Chromebox(Chroms OS)の良い所
- 起動時間がたったの5秒
色々なところにすでに書かれていますが、起動と停止が異常に素早い。ということです。電源を入れてから5秒程度でログイン画面が表示されます。停止する場合にも、5秒程度です。起動時間が早いだけでそれだけか、と思われるかもしれませんが、ストレスなく作業を始められることは、結構爽快です。
当社のエンジニアいわく、U-Bootが使われているんだろうとのことでした。 - Google Docsとの相性が抜群
Chrome OSの場合は、ダウンロードは、ローカルに可能ですが、ファイルの保管はすべてGoogle Driveにて行われます。ファイルマネージャは、Google Driveを直接見に行きます。
- 私が大好きなLinuxベースである
Chrome OSは、Linux(Kernel 3.8.11)をベースとして、アプリケーションがChromeブラウザしか動作しないようにコンフィグレーションされています。コマンドラインもあるのですが、利用できるコマンドが制限されていて、ping,top, sshぐらいしか利用ができません。でも、Linuxです。
Chrome OSでも、できること
Chromeブラウザしか動作しないんじゃ、業務では難しいのでは? と考えがちですが、1周間使ってみた感想は、「十分に使える」ということです。もちろん前提は、社内のアプリがブラウザベースであることです。
- USB周辺機器は、かなりの率で認識します。
今回は、ビデオ会議システムを利用するために、USB接続でスピーカーフォンを接続するわけですが、かなりの率で認識をします。
例えば、今回利用するヤハマのスピーカーフォンは、すべて認識をして、問題なく使えます。
YVC-1000、PJP-20UR、 PJP-10URは、動作確認が出来ました。
Chrome OSからは、このような形で認識されていることがわかります。 - Webカメラも認識します。
ビデオ会議システムですので、Webカメラも必要なわけです。今回は、180度カメラを利用しています。 バッファロー社製の180度広角カメラ(BSW180ABK)です。
こんな感じでちゃんと写ります。かなり広角で、10名のミーティングルームが全部写ります。 - タッチパネルディスプレイも動作します。
会社にあったDELL社のP2714Tという27インチのタッチパネルディスプレイで動作します。 - 2画面表示もできます。
Chromeboxには、ディスプレイポートとHDMIの2系統のディスプレイ出力があります。この2系統のそれぞれディスプレイを接続すると2画面表示が可能になります。 - なんとっっっとー、LIbreOfficeも動作する!。
これは、rollAppという会社が提供しているサービスで、ChromeブラウザでLinux系のアプリケーションを動作させるものです。
しかし、残念ながら、Google Driveへのアクセスが遅すぎるのと日本語入力対応されていないために、日本語環境においては使える状態ではありません。
ということで、私のビジネス環境では、問題なく利用できますし、ビデオ会議システムの据え置きマシンとしても十分使えることが分かったのです。
現在の問題点
じゃあ、何も問題がないかというと、問題もあります。企業ユースをする場合の問題点を挙げてみました。
- 暗号化されたZIPファイルの解凍ができない。
これ、結構致命的です。添付ファイルで送られてくるZIPファイルが解凍できません。
しかし、https://code.google.com/p/chromium/issues/detail?id=167686
によるとM41でサポートされるようです。現在のChrome OSのバージョンがバージョン 40.0.2214.93 (64-bit)ですので、次のバージョンではサポートされるはずです。
(追記;2015/5/28)現行バージョンの42.0.2311.153では、暗号化ZIPファイルの解凍ができるようになりました。 - Windowsのファイルサーバに接続できない(Sambaクライアントがない)
Google Driveだけでファイル共有がされていれば良いのですが、企業ではまだまだWindowsファイルサーバがたくさん動作していることでしょう。
ただし、Developerモードにすれば可能。
https://github.com/dnschneid/crouton/wiki/How-to-mount-network-shares-on-Chromebook-using-smbnetfs
http://ivis-mynikki.blogspot.jp/2014/11/chromebook.html
- Screen Saverが使いにくい。
chromeアプリがあるが、1分間という時間間隔が固定になっている。
https://chrome.google.com/webstore/detail/webview-screensaver/impeaepfgpjkikhmkaejhgcfhoenenoa?utm_source=chrome-app-launcher
また,パスワードロックにならないので、ISMS的な少し厳しいものがあります。
- 印刷は、Googleクラウドプリントを利用する。
会社の場合には、複合機を利用していることが殆どですが、残念ながらGoogleクラウドプリントに対応しているものはほとんどありません。ただ、複合機が接続されているPC(私の場合にはUbuntu)を介して設定をすることで、印刷が可能になります。
結論
用途を制限させた使い方をさせたい場合や共有PCには、Chromeboxはありだと思います。今回は、ウェブカンファレンス用の会議室に据え置きすることを考えていますが、この用途では十分にありです。その理由は、
- 起動が瞬速であるために、会議をスタートする際に手間取らない。
- ASUS Chromeboxには、VESAマウントとネジがついており、PCを固定化できる。
- Google Driveでファイルを共有しておけば、シンクライアントのように利用できる。
- 2画面表示も可能であり、プロジェクター投影とPCディスプレイと使えるのは、ウェブカンファレンスでは便利。
- 低価格(31,000円)仕様(Cerelon+4GBメモリ+16GB SSD)にて、十分なパフォーマンスで利用できる。
日本においては、Chrome OSは、超マイナーではあるでしょうが、今後教育用途などに広がる可能性も十分にあるかと思います。
2015/5/28追記:Chromeboxを利用した会議システムを新オフィスに構築しました。にて実際に利用した記事を書きました。