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LinuxのDesktop(デスクトップ)は、どこまで使えるのか(オフィス編)

半年ぐらい前に書いたLinuxデスクトップ「個人編」から随分たちましたが、オフィス編です。

前回の「個人編」でも書きましたが、私は、2009年5月からオフィスでもLinux(Ubuntu)だけで、仕事をしています。写真にありますよう、ノートPCを利用し、2画面表示をして利用しています。

オフィス、すなわち企業でデスクトップLinuxをどこまで使えるのかを今回は、お伝えしたいと思います。




業務アプリケーション
ポイントは、Windowsアプリケーションを業務アプリとして、利用しないことです。当社では、全社員が利用する業務系アプリケーションは、全てブラウザで利用できるようにしています。そうすることで、Windowsクライアントに依存することが無くなります。

 

    • Google Apps
      メール、ファイル共有、カレンダー、Web会議、社内SNS、社内向け資料は、全てGoogle Appsを利用しています。これにより、Windowsを排除できますし、ブラウザだけで十分な操作感で業務アプリを利用することができます。
    • 承認関連処理(クエステトラ
      当社では、2010年7月から、全ての承認処理(経費精算や稟議など)をオンライン化しました。このクエステトラの良い所は、ワークフローの開発もブラウザで可能なことです。(Flashを用いた開発インターフェースになっています)。もちろん利用者が行う申請や承認もブラウザ(または、スマートフォン)だけで利用ができます。ワークフロー製品を導入する際の決め手は、ブラウザだけで開発と処理が可能なことでした。当時色々な製品やサービスを探したのですが、Windowsクライアントを必須とする製品が多く、この製品だけが、私の要求を満たしてくれました。 エンジニア以外の一般職の人も開発できるインターフェースも決めてになりました。実際に当社では、管理本部の女性スタッフがメンテナンスをしています。
    • 勤怠管理(ZAC
      業務系製品は、それこそ、Windows王国であり、なかなかブラウザだけで処理できる製品が存在しません。しかし、あくまで私は、OS依存しない製品を必須条件として製品を探し、このZACを利用しています。

ということで、業務アプリは、ブラウザ対応の製品やサービスを探せば、全然問題ありません。社内システム開発担当の人が脱Windowsクライアントを最初から想定していれば、実現できるわけです。

禁断のオフィススイート
オフィスでLinuxを利用する場合に、もっとも問題になるのが、このオフィススイート。日本の企業においては、某M社のオフィススイートがデファクトスタンダードになっているわけです。しかし、、、、、

ITProさんが調査した結果では、既に35%のユーザがM社以外の互換ソフトウェアを利用しています。ただ、このユーザ調査は、企業内であるかどうかが分かりません。実際には、私が受け取る編集可能なファイルフォーマットは、M社形式以外ものは、皆無です。すなわち共通フォーマットとしてのシェアは、100%だったりすると考えています。ファイルを送信する相手先の企業が互換ソフトウェア(一番シェアがあるのは、OpenOffice/LibreOffice系)のファイルフォーマットで送って良いかどうか尋ねられたこともありません。非常にに残念なことです。しかし、当社では、社内資料は、Google DocsまたはLibreOfficeを利用しています。また、PDFにて配布可能なものもこれらのツールを用いています。

  • Google ドキュメント/スプレッドシート/スライド
    日々進化を進めています。当社がGoogle Appsを利用しはじめた2010年頃は、なんだこれは、という感じでした。しかし、それから5年が経ち、かなり使えるようになっています。そのため、ある程度の社内資料(スライドを含め)がGoogle Docsで作られています。
  • LibreOffice
    M社ソフトウェアとの互換性は、バージョンアップの度に上がっています。最初からLibreOfficeを使っていれば、なんら問題はありません。逆に私は、もうM社オフィスを使えない体になっています。


日本においても、M社オフィスからLibreOfficeへ移行している自治体などがそれなりにはあり、これらの互換性についてのレポートも出ています。(例えば、JA福岡さんの場合は、これ
しかしながら、グローバルにおいてもM社オフィスが、90%以上企業では使われており、2013年の
Report: Microsoft Office continues to dominate the productivity software raceの報告でも、85%以上の企業においてM社オフィスが利用されています。

この環境がもし、変わるとするなら、2つのパターンが考えられると見ています。

  1. 日本の官公庁が、全ての書類をOpenDocument Format(ODF)もしくは、OOXML(Office Open XML File Formats)でのみ作成し、入札や申請書類のフォーマットもこの2種類しか受け付けない。というかなり強い方針を打ち出す。
    しかしながら実際のところ、市町村などの入札申込書は、ほとんどがWordかExcelです。例えば神奈川件などは、こんな感じです。逆にODFにて申請書類などを作成している市町村を「入札 申込書 ODF」のキーワードで探して見ると、
    会津若松市(さすが、コンピューター理工学部のある会津大学がある市です)と滋賀県の甲賀市が出てきます。しかし、甲賀市は、残念ながら共通のフッターにLibreOfficeの説明があるだけで、実際の申請書は、Wordだったりします。次に出てくるのは、鹿児島県です。続いて愛知県犬山市です。
    いずれにしても、こういう官公庁、県市町村の申請書がM社オフィスに牛耳られているのが現状であり、それをODFフォーマットだけにするというのは、現実的にはかなりハードルが高いことが分かります。






  2. クラウドタイプのOfficeがメジャーになってきた時に、M社なのかGoogleのいずれがメジャーになるかです。
    上記の調査では、Google Drive/Docsが13%の企業が利用っしており、M社のWeb版より利用者が多いわけです。残念ながらOpenOffice/LibreOfficeは、シェアが3%と2%であることから、メジャーへの道のりはかなり険しいと言わざるといえません。もし、Android版のLibreOfficeがリリースされていたら、もっと状況は変わったのだろうと考えています。しかしながら、最近は、Windows8.1を搭載したタブレットもリリースされてきており、それにかなりの低価格でM社オフィスが搭載されている製品が出てきおり、4万円前後で購入ができる。こちらの記事によれば、OS+オフィスで30ドルぐらいでM社は提供しているようです。

そういうわけで、Linux Desktop(デスクトップ)を企業で利用するには、Officeという高いハードルによる障壁があり、なかなか進まないわけですが、クラウドOfficeになったときに、Officeの使い方がオンラインで共同で作業をしたり、自身で権限をつけたりという違う用途が出てくれば、M社から変わっていく可能性は十分にあると考えています。

もちろん、私は、このままGoogle DocsとLibreOfficeで生きていきますし、当社はLinuxとOSSの会社ですので、会社においてもこれらを利用していきます。LibreOfficeをご利用されているお客様は、そのままファイルをお送り頂ければと思います。

 

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