MIRACLE LINUXの偶数バージョンのみのリリースの意味とは - アップデートされるのでご安心を!
RHEL互換であるMIRACLE LINUXは、マイナーバージョンについて偶数バージョンのみをリリースするポリシーとなっています。つまり、8系であれば、8.4、8.6、8.8といった偶数のみがリリースされるわけです。
では、8.5や8.7、8.9相当のパッケージはどうなってしまうのでしょうか?
今回は、この偶数バージョンのみのリリースの意味とバージョンを選択してインストールできる module機能について紹介します。
マイナーバージョンのパッケージ開発と提供は継続的に行われる
MIRACLE LINUXの奇数バージョンがリリースされないとはどういう意味でしょうか?
それは、「インストーラが付属するインストール可能なISOイメージとしてはリリースされない」ということを意味しており、奇数バージョン相当のパッケージが提供されないということではありません。奇数バージョンのパッケージの開発と提供は継続しています。
例えば、MIRACLE LINUX 8.4がインストールされている環境で、カーネルのパッケージのアップデートをしてみます。(*移行の画面表示は2022年9月5日現在のもの)
MIRACLE LINUXのパッケージ作業は進んでいるので、RHEL 8.6相当のバージョンのカーネルパッケージが表示されます。
同様にNetworkManagerのパッケージを調べてみると、これもRHEL 8.6相当のバージョンへアップデートが可能です。
もちろん、依存関係にあるパッケージも自動的にアップデートされていきます。
このように、MIRACLE LINUXをインストールしたらパッケージのアップデートを継続することで、マイナーバージョン間のアップデートに追随していきます。ですのでメジャーバージョンのサポート期間中は安心して利用できます。
バージョンを選択してインストールできる module 機能
パッケージに関連したmodule機能にも触れておきます。MIRACLE LINUX 8.4 ではRHEL8から導入されたパッケージよっては複数バージョンから選択してインストールすることができる moduleという仕組みがあります。
例えば、RHEL7以前ではパッケージに含まれているのとは異なる、PHPやNginxnなどをインストールしするためにはEPELであったり、開発元の別のリポジトリを有効にしてインストールする必要がありました。
module機能が追加されたことで、ディストリビューション側で複数のバージョンのパッケージをストリームとして提供し、ユーザーはどのストリーム指定するかで、インストールするバージョン選択することができるようになりました。
どのパッケージでストリームが選択できるかは、以下のコマンドで見ることができます。 (以下、sudoかroot権限で実行します。)
$ sudo dnf module list
Apache(httpd)、 Nginx、Node.js、Mariadb、PostgreSQL、PHP等をバージョンを選択して、インストールすることができるので、WEBアプリケーションとの連動などで特定のバージョンが必要となる場合に調整できます。
Nginxのストリームを指定してみる
ここでは例としてWEBサーバーのNginxのストリームを選択してみます。次のコマンドで現在の状態を調べます。
$ sudo dnf module list nginx
ここでは Streamのバージョン 1.14にデフォルトを示す[d]が付いています。このままの状態でnginxをインストールするとこの1.14が選択されます。例えば バージョン1.2のストリームに切り替えたいなら、そのバージョンを指定します。
$ sudo dnf module enable nginx:1.20
yキーを押してストリームを有効化します。ストリームが有効になったことを確認してみます。
$ sudo dnf module list nginx
Streamの1.20に[e] が付き、有効化されています。これでnginx をインストールしてみると、バージョン1.20とそれに関連するパッケージがインストールされます。
$ sudo dnf install nginx
MIRACLE LINUXはメジャーバージョンのリリースから10年間はサポートされ、有償サポートを利用すればさらに2年間の延長サポートを受けることできます。ですので、どのマイナーバージョンから導入しても、同一メジャーバージョン(現状ではMIRACLE LINUX 8)の間は、最新のパッケージをインストールして安定した運用が可能となります。