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商用Linuxのサポートの考え方、選び方 - 運用実態とサポートコストのバランスが大切

商用サポートというと、ユーザー側にとっては何でも聞ける『よろず相談』的なことを期待しがちです。しかし、自社、自組織の運用実態や対応能力を検討し、「何を必要としているか」「どんなサポートが必要になりそうか」を事前に具体的に検討することが、自社の役に立つ、無駄のないサポートの選択につながります。
本記事は、はてなブログ上の「MIRACLE LINUX」ブログに2021年8月31日に掲載した記事を転載したものです。現在の状況と記事の内容に異なる点がありますことを事前にご了承ください。

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前回はコミュニティ版Linuxと商用Linuxの違いについて触れましたが、今回は商用Linuxの有償サポートとはどのようなものかチェックしてみます。

商用サポートサブスクリプションを選択する時のポイント

商用サポートというと、ユーザー側にとっては何でも聞ける『よろず相談』的なことを期待しがちです。しかし、自社、自組織の運用実態や対応能力を検討し、「何を必要としているか」「どんなサポートが必要になりそうか」を事前に具体的に検討することが、自社の役に立つ、無駄のないサポートの選択につながります。

具体的な技術サポートの種類にどんなものがあるのか、代表的なものを列記してみましょう。

技術サポートの種類と種別

  1. インストール・導入:ハードウェアの選定、通常のインストール作業、パッケージ選択などの支援
  2. ソフトウェアの設定や操作の案内:ネットワーク設定、ユーザー管理、アップデート設定、データベース、各種サーバーサービスなど各ソフトウェアパッケージの内容や製品マニュアルに記載されている操作、設定方法の説明
  3. 障害解析:発生した障害に対してソフトウェアの動作確認、ログの調査を行い、調査結果を報告
  4. ソースコード解析:ソフトウェアのソース解析を通じて、仕様、障害の調査を行い調査結果を報告
  5. ダンプ解析:カーネルダンプ、コアダンプの調査を行い、調査結果を報告
  6. 修正版の提供:独自のソフトウェアの修正版の提供
  7. パフォーマンス分析:ソフトウェアの性能、高負荷時の挙動に関して調査を行い、調査結果を報告
  8. システム構築支援:ユーザーのシステムに特化した設計・構築・運用・移行・分析に関するソフトウェアの使用方法、設定を支援

多くの商用Linuxのサポートにおいて上記の1〜3の一部はスタンダート、あるいはベーシックというメニューに含まれ、3での詳細調査や4以上はプラチナやプレミアムといったより上位のサポートメニューに含まれたり、インシデント単位での別料金での対応の範疇とされるケースとなります。

 

システム構成とサポート種別の関係

商用サポートを選択するときに、システム構成によりサポートの種別や金額が変わることにも注意が必要です。以下の要素が影響します。

  • システム数:物理的なサーバーの台数
  • 物理CPU数:CPUソケット数でカウントする場合と装着されているCPU数でカウントする場合があります。
  • コア数:CPUあたりのコア数
  • 仮想ゲストOS数:システム上で仮想環境が動作しているとき、そのゲストOSの数によって変化し、またその仮想環境がVMwareによるものなのか、KVMによるものかでもカウント方法は変わります。

 

サポートの受付方法・レンポンス時間:

問題が発生して実際にサポートを利用するときの連絡方法や対応時間なども事前に確認しておきたい項目です。これもスタンダード、ベーシックといったサポートとプラチナ、プレミアムといった上位のサポートで異なる部分です。

受付方法には電話、メール、WEBサイトの専用フォームなどの種類があります。ただサポートへのリクエストを受け付けることと対応へのレスポンス時間は契約するサポートのレベルにより異なります。つまり平日営業日のみのサポートであれば、深夜に問い合わせ等を送信することはできますが、回答や対応は翌営業日の営業時間帯となります。

 

サポートでの優先対応度:

上記でも触れたように、サポートレベルによる回答までの時間は、その契約内容や発生事象の重要度により異なります。インストールやソフトウェアの操作といった通常の操作に関することよりもサーバーやサービスの停止といったクリティカルで重要度の高いものは優先対応されます。ただし、一度の対応で問題が全て解消するという保証はありません。レスポンスまでの時間だけでなくサポートの対応能力も問われます。

 

全て日本語で対応されるか:

サポートが全て日本語で行われるかも重要なポイントです。日本のサポート拠点が営業時間中は日本で対応するが、それ以外は時差のある海外拠点でサポート対応されたり、また日本で対応可能な範囲を超えると海外拠点に対応が移管されることもあります。その場合、途中から英語や翻訳ソフトを介してのやりとりとなりコミュニケーション面で不安となります。サポートリクエストから対応完了までの一連の流れが日本語で行えるかも事前にチェックしたいポイントです。

サポートの条件等については各社のSLA(サービスレベルアグリーメント)が公開されていますから、事前に内容をチェックし、疑問点を解消しておくことが大切です。

 

主な商用Linuxのサポートプログラムの内容を比較

ここでは、商用ディストリビューションである「Oracle Linux」、「Red Hat Enterprise Linux」、「MIRACLE LINUX」のサポート内容を比較してみます。期間は1年から5年の長期間まであり、長期間の方が割安の価格設定となりますが、ここでは条件を揃えて1年のサポート期間で比較しています。

(*以下の比較のための情報は各社のサイトおよび販売代理店のサイトで公開されている情報をもとにまとめています。)

 

Oracle Linux

Basic、Premierの2種類があり、その中でさらにLimitedサポートがあり、合計4種類のサポート種別となります。LimitedサポートではCPU数が2個までに制限されます。この表にはありませんが、Premierサポートでは独自の無停止でのパッチ適応機能のKspliceが含まれます。サイト等でのサポートに関する情報は英語が主体です。

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Red Hat Enterprise Linux

物理、仮想Linuxサーバーに対してのサポートとVMware、Hyper-Vの仮想環境、KVMでの仮想環境でのサポートの3種類があり、その中で仮想ゲストOSの制限の有無、営業時間内対応か24時間対応かでStandard と Premiumに分かれます。CPU数が2個単位でサポートの購入が必要となります。サポート情報は日本語と英語で提供されています。

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MIRACLE LINUX

基本的に1システムあたりで、CPU数やコア数、仮想ゲスト数での制限がないシンプルなサポートライセンス体系です。物理システム向けのStandardサポート、仮想基盤向けのVM Standardサポート、重大な事案発生時にインシデント単位でより詳細な調査やサポートが得られるプラチナインシデントサービス、システム数も無制限とするプラチナサポートが用意されています。全てのサポートは日本語で日本国内のエンジニアチームが対応します。

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サーバー運用事例によるサポート費用の比較

次に具体的なサーバー運用環境の違いよるサポートサブスクリプションの費用を国内で普及しているRed Hat Enterprise LinuxとMIRACLE LINUXで比較してみましょう。価格の算出は廉価な「Standard」レベルのサポートの1年分の価格で計算します。

(注記:2021年10月からのMIRACLE LINUXのOSラインセス無償化に合わせてサポートサブスクリプション価格が改定されました。記事末尾のリンクを参照ください。)

物理サーバーに適用する場合

1台の物理サーバーで運用するとき、CPU数の違いでサポート費用が変わります。CPU数に制限があるときは、そのCPU数に応じてライセンス数を購入しなければなりません。

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物理サーバー上で仮想環境が動作している場合

物理サーバー上に仮想環境で複数のゲストOSが稼働しているときは、物理サーバーとゲストOSのライセンスの両方をカバーする必要があります。また仮想化プラットフォームがVMwareによるものか、LinuxのKVMによるものかでもライセンス体系が変わります。ここでは、物理サーバーもゲストOSも同一のものを使用することを条件として計算しています。

VMwareを使用する場合は、ゲストOS数のみがカウントの対象になり、物理CPU数はカウント対象となりません。

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ゲストOS数が7個を超えるようなときは、必要なライセンス種別が変わります。

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仮想環境としてKVMを使用する場合は、ゲストOS数に加えて物理サーバーのCPUもカウント対象となります。つまり、物理サーバー分のサポートサブスクリプションと稼働するゲストOS分のサポートサブスクリプションの両方が必要となります。

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KVMの場合もゲストOS数が7個を超えるようなときは、ライセンス種別が変わります。

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自社に最適な商用サポートサブスクリプションを選択する

今回は、主要商用ディストリビューションのサポートサブスクリプションを比較してみました。サポートの内容、費用にそれぞれ特徴があり異なることがわかります。コストも重要な要素ですが、対応への安心感、気軽に利用できるサポートであると同時にトラブルが発生したときの的確な対応、コミュニケーション能力も重要です。

MIRACLE LINUXのサポート体系は、通常はコストを抑えたサポートサブスクリプションとしつつ、重大な事案が発生したときはインシデント単位でサポートを追加購入できるなど柔軟な体系としています。日本のお客様のビジネス習慣にマッチしたサポートをお届けします。

 

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