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OpenStack Summit Tokyo 2015 聴講レポート ~総括編〜

2015/10/27~10/29まで東京で開催された「OpenStack Summit Tokyo」の参加レポートです。全体のトピック的なところをまとめてご報告します。

こんにちは。ミラクル・リナックス 松永です。

2015/10/27~10/29まで「OpenStack Summit Tokyo」に参加してきました。
セッションはほとんどが英語。日本人までもが英語で説明していました。

日本語のセッションを聞くよりも遥かに集中力が必要だったので、すごく疲れました。(^^ゞ

詳しいことはそれぞれのブレイクアウト・セッションの動画が見ていただくとして、ここでは入門チックに全体のトピック的なところをまとめたいと思います。

12回目のリリース "Liberty" と、その強化点

さて、今回のOpenStack Summit では、まず12回目のリリースとなる "Liberty" の話から入りました。

今回は、「Manageability」、「Scalability」、「Extensibility」の分野でユーザの声に基づいた強化がされているとのこと。
また、「Interoperabiryty」を図るため「DefCore」という組織が設置され、ケイパビリティをスコアリングして成熟度を測り、本当に共通かどうか議論した上でガイドラインを出していくとのことでした。
ちなみに2015年ではNovaが成熟しているとのことです。

ただ、ここ1年で見てみると一番ホットだったコンポーネントは、「Neutron」というネットワーク系のものだったそうです。
2014年には68%の利用率だったのですが、2015年には89%になったとのことです。
クラウドの3大要素のうち、「Compute」、「Storage」に続いて、いよいよ「Networking」も普及してくるようになったか...という感じです。

ですが...

何人かの人に聞いてみると、「Networking」もまだまだ感があるようです。
まぁ、全体的に言えることらしいのですが、「OpenStack対応」と言われていても、そのままでは動かなかったりするケースも多いとのことですので、相当研究しなければならないし、また研究を通して「ここまでは手を入れる(修正する)けど、ここから先は手を入れない」などの判断も必要となりそうです。

印象に残ったOpenStack活用支援、「Super Integrator」など

こういった中で、印象的だったのはNEC社が表明していた「Super Integrator」というコンセプト。
一般的なユーザがOpenStackを使いこなすのは、まだまだハードルが高いし、使いこなせるようになるまでには時間がかかるので、できるだけ多くの人がOpenStackを使えるように支援するのが「Super Integrator」の役目とのことです。
また、「Super Integrator」には、OpenStackをより良いものにするために「オープンにフィードバックすること」、「(コミュニティへ)貢献すること」だとも言っていました。

そういえば、今回ブレイクアウト・セッションを行った人は相当研究していましたし、どういった形でコミュニティに貢献するのかも示されていました。
貢献の仕方はそれこそ人それぞれで、ある人は「ソースコードを修正してフィードバックする」であったり、別の人は「ドキュメントを修正しすること」であったり、また別の人は「あくまでもエンドユーザとして必要な機能をリクエストしていくこと」であったり、様々な形で貢献しているようでした。
まだまだ貢献する人(Contributor)が必要とのことで、いろいろなセッションでも募集していました。いろいろな形で貢献できると思いますので、「我こそは!」と人は、ぜひ手を挙げていただければと思います。

今後のロードマップ:次期バージョン "Mitaka"

さてさて、最後に今後のロードマップに関して一言。

次のバージョンは"Mitaka"です。
これはLTS(Long Term Support)版ということもあって、今回参加していた日本企業の多くはこの"Mitaka"に照準を合わせているものと思われます。

"Mitaka"でのUpdateはCinder、Keystone、Neutronなど含めて20コンポーネントに上る模様。

そして将来的なバージョンも含めると10,000以上の機能強化が計画されており、それぞれ5つのテーマ、「Scalability(スケーラビリティ)」、「Resiliency(対応力+復旧力)」、「Manageability(管理性)」、「Modularity(モジュール化)」、「Interoperability(相互運用性)」に細かく分類されています。

パッと見たところ、現時点では"Mitaka"は、「Manageability」、「Modularity」、「Resiliency」のあたりの強化ポイントが多そうでしたが、「現時点での状況なので、今後変わることもある。」とのことでした。

"Mitaka"をターゲットとしている方は、今後もウォッチしていた方が良さそうです。


以上、私の感じた全体感でした。

なお、参考までに私が聴講したセッションをあげておきます。
以下のURLから動画を見ることができますので、興味があれば見てください。

私が聴講したセッション

  • キーノート・セッション(10/27,28)
  • OpenStack at NTT Resonant: Lessons Learned in Web Infrastrucure(NTTレゾナント)
  • Japan's OpenStack Market Potential: How to be Successful in the Cloud(CTC)
  • OSSで作るOpenStackの監視システム(NTTソフトウェア)
  • NEC SDN Virtual Data Center Solution(NEC)
  • Is OpenStack's Future Still in the Cloud?(IBM 他 パネルディスカッション)
  • 通信事業者観点からOpenStackベースのサーバ基盤に求める技術的要件について(NTT西日本)
  • 日本でのOpenStack、企業の導入状況と今後の活用予測
  • OpenStack for Beginners(Putting OpenStack to Work for your Business)(IBM)
  • Yahoo! Japan and Nimble collaboration to drive OpenStack community and future contribution plan(Yahoo! Japan、Nimble)
  • Enhancement on OpenStack Networking for Carrier Cloud Platform(NTT Communications)
  • OpenStack x Enterprise: Fomula for Developing OpenStack-Based Cloud for Enterprise(NTT Communications)
  • How OpenStack is implemented at GMO Public Cloud Service offering(GMO Internet)
  • Kirin User Story: Migrating Mission Critical Applications to OpenStack Private Cloud.(NTT Data)
  • Fluentd vs. Logstash for OpenStack Log Management(NTT Communications.)
  • Chef vs. Puppet vs. Ansible vs. Salt - What's best for Deploying and Managing OpenStack(IBM他)
  • Ironic Towards Truly Open and Reliable, Eventually for Mission Critical(Fujitsu)
  • Efficient Image Management Using Cinder Volumes for Virtual and Baremetal Machines(Hitachi Data Systems)
  • Let's Talk Roadmaps - OpenStack Style(Intel, Cisco, Huawei, IBM)
  • OpenStack Neutron FWaaS Roadmap(Intel, HP,Cisco, HP)
  • Beginners Guide to Containers Technology and How it Actually Works(Odin)
  • Capacity Management for the Cloud(Mirantis)