オープンソースを主たる生業にして、成功している会社というのは、世界を見ても数少ないはずです。また、国内でOSを提供し、それをサポートし続けている企業も非常に稀です。我々のチャレンジは、国産OSベンダーとして、企業とコミュニティの間に立ち、双方の言葉や文化がわかる会社として、オープンソースをベースにした価値創造を行い、企業とオープンソースコミュニティ双方に利益をもたらすビジネスを行うことです。
我々が、これまでの8年間で築いてきた、企業ユーザとのビジネス経験は、新興のオープンソース企業には、すぐに真似ができない財産です。また、OSを開発したい、よりよいサポートを提供したい、Linuxの知識をもっと高めたいと集まった優秀なエンジニアたちも他社にひけをとらない財産です。
また我々には、国産OSベンダーとしての価値を理解して、我々の製品やサービスをご購入頂いているお客様が既に多数いらっしゃいます。
Linuxが、世界で一番利用され、今日広まっているオープンソース製品であることは、皆が周知の事実だと思います。今後は、国産OSベンダーという価値をさらに高め、将来的にはLinuxだけでなく、オープンソース製品を含めた製品・サービスが提供できる会社になりたいと考えています。
"エンジニアの楽園"という言葉には、私なりのこだわりがあります。私は、このミラクル・リナックス社を、厳しさの中に楽しさがあり、お互いに切磋琢磨し、チャレンジし続ける会社にしたいと考えています。シリコンバレーの企業に見られるような伸びやかな風土を目指すもので、私の考える「エンジニアの楽園」なのです。これは、日本オラクルがまだ起業間もない頃に私が入社し、そして、米国オラクル本社で働いた時の経験を基に考えたものです。
私がイメージする「楽園」というのは、「非常に技術力の高い人」たちが、「自己管理」と「自己責任」を持ち、「仕事に没頭でき、チャレンジできる環境」だと考えています。
「エンジニアの楽園」には、チャレンジできる環境が必要です。私は、ミラクル・リナックス社から世界に挑戦する人たちを創りだしていきたいと考えています。オープンソースの世界には、物理的な制約などは、どこにもありません。日本に居ながら、世界に名だたるエンジニアになることも不可能ではありません。日本のエンジニアは、世界基準で見た場合に、他の西洋諸国のエンジニアより優秀な人は多いと思います。ただ、世界に挑戦するチャンスが少ない、もしくは、そういう世界を知らないために、日本に留まっている人が多いと感じています。
これは、私が、シリコンバレーで働いた経験から言えることですし、努力してチャレンジしてみれば、思っていたより世界は近かったなんてことがあります。ただ、そこには、慣習や年齢、性別を問わない、エンジニアとしての真剣勝負があるのも事実です。ミラクル・リナックス社のエンジニアには、そういう世界でぜひ、エンジニアとしての価値を磨いてもらいたいと考えています。そして、そのようなエンジニアを抱える、ミラクル・リナックス社の製品・サービスは日本一であり、世界にも通じると言われたいと考えています。
私は、近年、Asianuxの関係で、色々なアジア諸国の方々と話をする機会がありました。特に発展途上国の政府関係の方と話をする機会が多く、以下のような言葉を何度も頂きました。
「もはや、道路や橋は必要ない。ああいうものは、一度作ってしまえば終わりで、その後の地元経済への発展にはつながらない。今必要なのは、自分たちの実となる、ITの技術だ。特にOSSは重要だ。日本は、ITの技術、特にソフトウェア開発やプロジェクトマネージメントは発展していると聞いている。なぜ、もっと日本政府は、発展途上国にITの教育を提供してくれないんだ。君の会社やAsianuxでエンジニア育成のプログラムをやってくれないか。我々には、自国の経済を発展させる知識が必要なんだ。そして、世界へ打って出られる技術としては、OSSが一番良いと考えている。」
日本は、間違いなく経済発展国であり、技術発展国です。しかし、こういう発展途上国の若い人たちの熱気と活力はすごいものがあります。この熱気は、「絶対に自分たちが頑張って、自分の国を良くするんだ。」という思いから起こってくるものです。彼等のどん欲で、強烈なパワーには、いつも圧倒されます。そんな経験を私自身がするうちに、彼等を支援し、我々のエンジニアのスキルやノウハウを彼等に還元することには大きな意味があり、OSSの世界にも貢献することができると考えたわけです。OSSをメインに利用する国が増え、OSSに関わるエンジニアが増えることは、間違いなくOSSの発展にも、さらにはこのような発展途上国のIT産業の発展に寄与できるはずです。
ミラクル・リナックス社は、国産OSベンダーとして、オープンソースコミュニティと企業をつなぎ、そして、エンジニアが成長できる環境を醸成する企業となることを目指します。